宇多田ヒカル、独特の寂しさを復元させたハイレゾ版「First Love」レビュー。

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first love utada

リマスタリングとハイレゾの解像感により、
宇多田ヒカルの声、独特の寂しさがあなたの心にクリティカルヒットしますーーー。


本日3月10日は、宇多田ヒカル「First Love」の発売15周年記念の日です。
日本で一番売れたモンスターアルバムですが、本日発売されたハイレゾ音源はまた日本で一番売れたハイレゾ音源になるのでしょうか。
そう思わせるポテンシャルは十分あります。
今目の前で歌っている様な解像感と、音圧上げ過ぎ問題を払拭しに行くナチュラルなリマスタリング
これぞハイレゾと言う感じです。
まだ聴き始めて一日目なのでレビューと言うより”雑感”、に近いですが(汗 新鮮なファーストインプレッションをお届け出来ればと思います。

1.「不思議」

いきなりこんな表現で申し訳ないんですが、
聴いて一番初めに思った感想が「なんだこの不思議な音!!」でした。
独特の…「音楽感」?「生感」?「バラついてまとまってる」?
この音を言葉にするのが難しく是非聴いて頂きたいのですが、
デジタルだけど今まさに演奏している様な自然な音作り…
ダイナミクスレンジがとても広く、下がり方と上がり方がデジタル世代には新鮮で生っぽく聴こえ、
音圧を下げたことにより、声がかなり素に近くなっているのが不思議感の要因かなと思います。
宇多田独特の声の震えが、頭蓋骨にひびく感覚を覚えました。
音の定位もかなりハッキリしています。
甘いワナではPaint It Blackを歌う部分のパンが狙った位置にビシッと決まっています。

2.「一番違うところ」

端的な話ですが、今回CD版と一番違うなと感じた部分はズバリ
ドラム」と「ボーカル」。
特にドラムに関しては一発目のAutomaticからスネアの音が違いすぎて、録音しなおしたの?と笑っちゃうレベルです。
元々バシャッ!バシャッ!と耳元で手拍子でもしてる様な潰れた音で、音量を下げないと耳が痛くなりましたが
邪魔しない、抜けの良く固い音にリマスタリングされています。
もちろんAutometic以外の全曲でもドラムが全面に出てきすぎない音設計に直されています。
リズムの強い楽曲が多いので、これは素直に嬉しいですね。
そしてボーカル。
CD版では余計に音を増幅させた感じでかなりツンツンキンキン、例えばautomaticの
「君とparadiseにいるみたい」
の”みたい〜”と声を張り上げて歌うシーンでは天井に張り付いて叫んでいる感じだったのが
広いホールで歌ってる感覚に変わり、ずーっと上まで伸びクリアに響き抜けて行きます。
リズムトラックとボーカルがこのアルバムの要なので、曲全体が良い方に変わって聴こえます。
そしてさらに一つ面白いなと感じたのが、増幅された音圧で声が豊か”過ぎ”で妙に大人っぽかったCD版から
ハイレゾ版になり、ベールが剥がれてより素に近い”15才”の宇多田ヒカルの声に戻った時、私の頭の中では次に書く要素に繋がりました。

3.「宇多田ヒカルは、やはり悲しい。」

…です。ファンの方なら常識ですかね。
宇多田ヒカルは”悲しみを歌い喜びを暗示させる“歌手です。
例えば”いずれ必ず終わる絶望“を曲や歌詞に反映させるのが得意で、
その要素は2nd、3rdとアルバムを出す毎に濃くなって行くのですが、
1stだけは全体的にノリの良さが強調され、ストレートなラブソングが包む切な系元気(?)な作品と思っていました。(少なくとも私は…)
しかしこのクリアなハイレゾ版をずっと聴いていると、
Deep Riverを聴いている時、Lettersを聴いている時、Be My Lastを聴いている時…
の、何かの終わりを求めている
独特な寂しさ、暗さ。そして閉塞感が、15才の少女の救いを求める様な声で収録されていました。
リズミカルな曲調には合わない、その根底にある悲しさを、微妙な陰影も逃さないハイレゾでは感じられます。
ですがこれこそ宇多田ヒカルの真髄。
その原点を味わえるスタジオクオリティな音質で是非楽しんでいただきたいです。

再生機器
プレイヤー:NW-F887,
macbook air + nano iDSD,
イヤホン:HA-FX700,
ER-4S
スピーカー:tivoli audio model one,

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